【完】『道頓堀ディテクティブ』
少女は有馬まりあ、といった。

「回文やな」

そう言う穆もクボヤボクで、同じように逆さからも読めるフルネームである。

「…人さんのこと言えまっかいな」

大二郎が呟き終わる前に、穆の突っ込みの手が瞬殺で入った。

それは置く。

話を繋ぎ合わせると、もともと有馬まりあの姉は京都の女子大学に通学しており、

「それがいつの間にかいなくなってたんです」

まりあは涙ぐんだ。

当初は学生会館のあった京都を中心に探していたのだが、

「もしかしたら、大阪かもって思って」

専門学校の知り合いのコネを頼りに、大阪まで来たらしいのであった。

「まず見当どこか、ついてまっか?」

「それが」

まるで分からない、というのである。

「雲を掴むようなとはこういうこと言うんやろな」

大二郎が呟いた。

「取り敢えず名前と写真を検索かけてみましょう」

机に向かうとタブレットで「有馬ゆりあ」と検索エンジンに入力してみた。

「該当なし、か…」

「変ですね…たいがいどこかの学校の名簿ぐらいはヒットするんやけど」

大二郎の言う通りである。

それが。

引っ掛からない。

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