【完】『道頓堀ディテクティブ』
帰りの道すがら、静の店に寄ると、東郷忠がいた。
「テレビで見たで」
えらい活躍やな、と東郷は言った。
「実は、ちょっとまなみちゃんに関わる依頼が来まして」
「まなみに?」
「例の貴島みなみが、鷹岡まなみに面会を希望してるんです」
「…」
東郷の顔が曇った。
「なんでも、まなみちゃんは彼女をアイドル時代いつも、何かと気にかけたりしていたようなんです」
「…まなみらしいな」
「?」
「いや、まなみはあの通り気にしぃやから、ほんで貴島みなみをほっとかれへんかったんやろ」
東郷らしい、おおらかな言い方をした。
「スケジュール、あとから聞いといたる」
「…ありがとうございます」
穆はようやく、いつものキューバリブレに口をつけることができた。