【完】『道頓堀ディテクティブ』
週末。
珍しく鷹岡まなみがミナミの穆の事務所にやって来た。
「…みなみに、会ったんですか?」
今時の芸能人らしく伊達メガネをかけた姿のまなみは、穆に訊いてきた。
「何でも、貴島みなみはまなみちゃんに謝りたいって言うてましたよ」
「…バカ」
まなみは少し涙ぐんでいた。
「お互いグループも違ったし、たまにイベントで会うぐらいだったけど、みなみは頑張ってた」
そういうところが、何か見捨てられなくて…とまなみは言い、
「だから辞めたとき、正直すごいショックだった」
腹が立ったりもしたらしいが、
「でも、ホントはみなみはスゴく優しい子で、なんであんなことをしたのか、ホントは違うんじゃないかって、今も思う」
「…面会する気持ちがあるなら、こっちから本町署の進藤さんに連絡しときますよ」
「…うぅん」
まなみは首を横に振った。
「会わない、と?」
「…マネージャーに話してみないと」
なにもできない、とまなみは言った。
「…その旨だけは、伝えておきますね」
まなみは、うつむいた。
あとからだが、
「かなりあれは悩んでるなぁ」
まりあは、まなみの様子をそう見ていたらしい。