【完】『道頓堀ディテクティブ』

拘置期限の日が来た。

穆は進藤のはからいで本町署のみなみに面会すると、

「鷹岡まなみには面会希望を伝えました」

「で、どうでした?」

「マネージャーに聞いてみないと答えられない、との回答でした」

「…そうだよね」

明らかにみなみは落胆したような顔つきで、

「こんな女だもん、会える訳ないよね」

「果たしてそうでしょうか」

「マネージャーに訊くってことは、事務所の意見でしか動かないって意味なんだよ、イケメン探偵さん」

「…そうですか」

穆は役立てなかったのを少しだけ悔いた。

「でも、ありがと。これで何の心配もなく裁判を受けられる」

「どうか、更生してくださいね」

「…ありがと」

そうやって深々頭を下げると、みなみは再び扉の向こうに消えた。

この日、みなみは起訴されている。




< 79 / 82 >

この作品をシェア

pagetop