【完】『道頓堀ディテクティブ』
拘置期限の日が来た。
穆は進藤のはからいで本町署のみなみに面会すると、
「鷹岡まなみには面会希望を伝えました」
「で、どうでした?」
「マネージャーに聞いてみないと答えられない、との回答でした」
「…そうだよね」
明らかにみなみは落胆したような顔つきで、
「こんな女だもん、会える訳ないよね」
「果たしてそうでしょうか」
「マネージャーに訊くってことは、事務所の意見でしか動かないって意味なんだよ、イケメン探偵さん」
「…そうですか」
穆は役立てなかったのを少しだけ悔いた。
「でも、ありがと。これで何の心配もなく裁判を受けられる」
「どうか、更生してくださいね」
「…ありがと」
そうやって深々頭を下げると、みなみは再び扉の向こうに消えた。
この日、みなみは起訴されている。