【完】『道頓堀ディテクティブ』
公判前の整理の手続きと、裁判員裁判で集中的に行われた貴島みなみの裁判は、あっけないほど早く判決が出た。
「主文、被告人を懲役十三年に処す」
という判決である。
家庭環境が考慮された評決であることだけは、穆の目にも分かったことである。
みなみは、控訴をしなかった。
むしろ、
「これでいい」
と弁護人を通じて出されたコメントが世にあらわれると、
「これで彼女は安心したんかも分からんな」
とだけ言った。
こうして刑務所に入所したのであったが、場所は非公開の原則のもと、どこに服役したかは穆も分からなかったようである。