† of Thousand~千の定義
愚かだと言った私の作戦に、怒鳴り声をぶつけてくる。

「人間ごときが、我が前に……!!」

炎弾の雨がやみ、キマイラのたてがみが豪気に燃え上がる。

赫灼の瞳のみを残して、その体が炎の塊となった。

不審火騒動の形態か。

広範囲に広がっていない分、その濃度は赤というよりも、眩すぎてオレンジ色に白んでいる。

つまり、次の激突で私を圧倒する腹だろう。

上等だ。私も不慣れな魔法の連発により、正直手元の剣を形成しているだけでも、息があがってきている。

「燃え尽きろ、人間んん!!」

突進してくるキマイラ。その姿はまさに生けるほうき星。

剣をしかと構え直し、一呼吸の間に百の思想を定義する。

私は、なぜ今、剣を手にしているか――。

その答えとして、

「私の生涯は、贖罪だけじゃ、終わらないな」

己の存在定義が、気付けばこの短い間に、言葉で示すには難しいほど増殖していた。

天へ向かって構築され続け、下から上へ上へ上がる『塔』のエネルギーを利用して、私も跳ぶ。


そして、


私と、



魔獣が、




一瞬だけ、





交錯した。
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