† of Ｔhousand～千の定義

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路面に横たわって浴びる雨は、なぜか、一気に脱力した体を心地よく潤してくれる。

いや、私の内包している熱を、優しく抑え込んでくれているのかもしれない。

火照ってたからだが、適度に冷却されていく。

隆起したアスファルトから跳んだ私は――見事に着地のことを忘れていた。

すべての神経を、キマイラと交差する一瞬に懸け、打ち勝った。

しかしまあその代償として、背中から落下したのだ。

まったくもって幸いに、私の契約したウリエルという天使は、苛烈な力を有しているくせに、意外と情深いのかもしれない。

地面へ衝突する瞬間、見えないなにかによって速度を緩和された。さすがに、ずっと見ていたというだけはある。

パパッ、パ、パ……と、乾いた音が聞こえ、首を持ち上げる。

私の魔術指定範囲に入っていなかった遠くの街灯が、明滅していた。

おそらく、この近隣の配電系統が、しっちゃかめっちゃかになったせいだろう。