† of Thousand~千の定義
そして、

「仁さん君、より高みを目指すつもりは、ありませんかね? 我らが、教会のもとで」

「教会……」

「ええ、教会です」

何度会話の最中、ヤツの口から漏れただろうその名詞。

私自身が反芻させたことで、一ツ橋の笑みがニィィと深まった気がした。

「特別ね、魔法魔術、古今東西を問わず優秀な者が集う場所でしてね。ともに来ませんか? 君にはそう、それだけの才能がある」

男にしては細い手が、差し出される。

それを握れば、私は教会への参入を認めることに、なるのだろう。

魔術を学ぶ者として少なからず、高み望む究明心はある。より深きを欲す探求心もある。

義務という言葉は好きではないが、草薙仁という女は魔術を覚え、学び、それに生きなければならない定義がある。

けじめ……とでも言おうか。

私が天涯孤独になった理由――それが魔術なのだ。

ゆえに、私の存在定義には、その道を歩む刻印が、押されている。
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