† of Thousand~千の定義
「ローズ、これはお前の招いたことだ!」
と、彼が私に叱咤を飛ばしてくる。
「この出来事は刻印される! すなわち『罪』だ!!」
腕一本で押さえられている巨獣は、毛ではない蛇を生やしたたてがみに、三つ首四足……地獄の番犬、ケルベロスだった。
人間ひとり、山小屋ひとつ容易く丸潰しにできるほど巨大な前足の一撃を、しかし彼は片腕で受け、肉を掴み、その動きまで制していた。
彼の凄然たる底力を前に、しかし私は、安堵などできなかった。
彼の人間のものではない右腕は、獣の圧力でびちびちと悲鳴をあげていた。
骨と、血管と、筋肉と、神経が、はち切れんばかりだと、わかった。
このままだと、私がこの空間へ引きずり込んでしまったほかの人間同様、彼までもが自らの血の中へ沈んでしまう。
瓦礫を濡らす赤の、ひとつになってしまう……。
と、彼が私に叱咤を飛ばしてくる。
「この出来事は刻印される! すなわち『罪』だ!!」
腕一本で押さえられている巨獣は、毛ではない蛇を生やしたたてがみに、三つ首四足……地獄の番犬、ケルベロスだった。
人間ひとり、山小屋ひとつ容易く丸潰しにできるほど巨大な前足の一撃を、しかし彼は片腕で受け、肉を掴み、その動きまで制していた。
彼の凄然たる底力を前に、しかし私は、安堵などできなかった。
彼の人間のものではない右腕は、獣の圧力でびちびちと悲鳴をあげていた。
骨と、血管と、筋肉と、神経が、はち切れんばかりだと、わかった。
このままだと、私がこの空間へ引きずり込んでしまったほかの人間同様、彼までもが自らの血の中へ沈んでしまう。
瓦礫を濡らす赤の、ひとつになってしまう……。