† of Thousand~千の定義
顔の右半分だけ悪魔の形相を顕現させ、
「これからケルベロスを強制送還する。同時に、この異空間も閉じ、お前は現実へ放り出されるだろう。恐らく、お前が生まれたとは違う場所、時代へだ」
彼は、力の何パーセントを出しているのだろうか?
足元のおぼつかない老人でも相手にするように、片腕で見事、狂犬を地べたへ押さえつけた。
三つ首の悪魔が、たった一本の腕で制圧される屈辱に、やかましく吠え、白濁の唾液を飛び散らせる。
しかし、彼の腕から放出されている力が不可視の鎖となって、犬を捕縛していた。
私にはない、強い力だ――。
右腕から始まり、ついには全身、彼の姿は人間ではなくなっていた。
牙に角、威嚇的な襟や棘を体中に生やす彼は、
「ローズ……俺の認めた、かわいいローズ」
しかしどこまでも優しく、笑んだ。
その足元に、私が描いたのとは違う、紫のラインが浮かび上がる。
私が引き起こしてしまった断絶空間、その中で起こった破壊とケルベロスの殺戮――
赤く散った城の者ら――
恐々の景色を、彼の魔法陣が紫色に照らす。
「これからケルベロスを強制送還する。同時に、この異空間も閉じ、お前は現実へ放り出されるだろう。恐らく、お前が生まれたとは違う場所、時代へだ」
彼は、力の何パーセントを出しているのだろうか?
足元のおぼつかない老人でも相手にするように、片腕で見事、狂犬を地べたへ押さえつけた。
三つ首の悪魔が、たった一本の腕で制圧される屈辱に、やかましく吠え、白濁の唾液を飛び散らせる。
しかし、彼の腕から放出されている力が不可視の鎖となって、犬を捕縛していた。
私にはない、強い力だ――。
右腕から始まり、ついには全身、彼の姿は人間ではなくなっていた。
牙に角、威嚇的な襟や棘を体中に生やす彼は、
「ローズ……俺の認めた、かわいいローズ」
しかしどこまでも優しく、笑んだ。
その足元に、私が描いたのとは違う、紫のラインが浮かび上がる。
私が引き起こしてしまった断絶空間、その中で起こった破壊とケルベロスの殺戮――
赤く散った城の者ら――
恐々の景色を、彼の魔法陣が紫色に照らす。