† of Thousand~千の定義
「俺はここで、お別れだ。少しの間だったが、お前とはおもしろくやれたぞ」
その光が、ケルベロスを送還するものだと気付いた瞬間、
「仁! やだ、仁、行かないで!!」
彼とも、今生の別れになると、自然悟った。
草薙仁が、笑う。
私へ向けて。
「ローズ、お前は己の定義に負けるな。『姫君』の定義は今終わる。『罪』と『魔術師』が、これからのお前だ」
視界の紫が、濃度を増す。
狂犬の咆哮が、足掻きが、空間を揺るがす。
双方から押し潰されるように、私の紅い魔法陣が、薄れていく。
「だがローズ、たった二つの定義に沈むな。次に逢う時、千にも及ぶ定義を俺に見せてみろ」
「仁! 仁っ!! やだ!! せっかく私達、友達になれたのに……っ!!」
叫ぶ私の声が、倒壊した城が、瓦礫が、血溜まりに沈むみなが、薄れていく。
そして、
「じゃあな、元気でいろよ。この魔導師、草薙仁唯一の弟子、ロサエル・S・ソフィア!!」
「仁――……!!」
私の世界のすべては、足元から、崩落した。
今まで構築された定義もろとも、紫の中で。
その光が、ケルベロスを送還するものだと気付いた瞬間、
「仁! やだ、仁、行かないで!!」
彼とも、今生の別れになると、自然悟った。
草薙仁が、笑う。
私へ向けて。
「ローズ、お前は己の定義に負けるな。『姫君』の定義は今終わる。『罪』と『魔術師』が、これからのお前だ」
視界の紫が、濃度を増す。
狂犬の咆哮が、足掻きが、空間を揺るがす。
双方から押し潰されるように、私の紅い魔法陣が、薄れていく。
「だがローズ、たった二つの定義に沈むな。次に逢う時、千にも及ぶ定義を俺に見せてみろ」
「仁! 仁っ!! やだ!! せっかく私達、友達になれたのに……っ!!」
叫ぶ私の声が、倒壊した城が、瓦礫が、血溜まりに沈むみなが、薄れていく。
そして、
「じゃあな、元気でいろよ。この魔導師、草薙仁唯一の弟子、ロサエル・S・ソフィア!!」
「仁――……!!」
私の世界のすべては、足元から、崩落した。
今まで構築された定義もろとも、紫の中で。