† of Ｔhousand～千の定義

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「仁！　仁!!」

「!?」

体が揺すられ、叫ぶ声に、私ははたと目を覚ました。

眼前、必死の表情で私の肩を掴む長沢がいた。

「長、沢……なん、――あ」

わけのわからない私を突然、彼は抱きすくめてくる。

後頭部と背に手が回され、私の顎が、彼の肩に乗る。

「な、なに……どうしたの、長沢……？」

「よかった……よかった、仁……仁……」

「……じ、ん――？」

彼の繰り返す名に数瞬、頭が真っ白になる。

呆然と見上げた空の手前、アパートの屋根が黒く焦げていた。

一部分が剥離し、その残骸がめくれ上がったり、周囲に飛散している。

少し、ざわめきが聞こえるかと思えば、アパートの表側に、パトカーらしき車、やいやい立ち話をしている管理人、警官、近所や隣室の連中が見えた。