† of Thousand~千の定義
攻防は、一瞬の拮抗の末に爆発を引き起こす。

黒い噴煙が眼前を覆ってくる。また視界を封じられては困る。

私は大きく横へ跳んだ。

瞬間、私のいたポイントへ、ミサイルのように、凝縮された炎の球が着弾した。

濡れたアスファルトを白くなるまで焦がし、路面にたゆたっていた雨水を、簡単に蒸発させてしまう。

私は一気に駆け出した。

スカートから呪符を一枚取り出し、イメージを作り上げる。

魔術と魔法の同時使用。

「炎よ、呪符を『柄』と定義し、剣となれ!」

呪符とは、公式を埋め込んだ魔術発動の媒介だ。

そして私の呪符はたいてい、あらゆる要素へと繋げられるように、一番根本的な公式を定義してある。

要素の派生に不可能性がない限り、小規模な魔法陣とも言える呪符は、私の思いのまま『定義』を実行する。

ボォウ、と鈍い音とともに、私の右手には炎を刀身とした剣が一振り、燦然と現れた。

同時に、体力とも言おうか、私の存在がウリエルに消耗される。

目が一瞬、霞み眩んだ。
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