虹の架け橋

お母さんは私にも期待している。

家に響く声。

「どうしてあなたはお兄ちゃんみたいに出来ないの!?私の育て方がいけなかったの?この点数は何!?ねぇ!何かいいなさい!」

「ごめんなさい…。」

私は謝ることしか出来なかった。
しゃがみこんで泣き出すお母さん。

お母さん…私も泣きたいよ。
私の気持ち考えた事あるの?
302人中15位ってまだマシじゃない。

って思ってしまう自分が嫌いだ。

お母さんが泣いてる姿しか見れず
何も出来なくて立ち止まってると
玄関が開いた音がした。

お兄ちゃんが帰ってきたんだ。
いつもかばってくれるお兄ちゃん。
同情されてるみたいな気分になるけど…。

「お母さん!どうしたの!?」

泣いているお母さんの背中をさすりながら
お母さんの話を聞いている。

「ふうな…部屋に戻りな。疲れただろ?少し休んでおいで。」

お兄ちゃんは優しい瞳をして言った。

ズキッ。

お兄ちゃんが優しくする度苦しくなる胸。
私は一生お兄ちゃんに勝てない。
どうしても超えたい壁。
でも…高くて高くて…。
一番上なんか見えない。

登っても登っても落とされる…。
上がれきれない大きな壁。
どうしたら飛び越えられるんだろう。
でも超えるのが怖い気もある。

いつか…いつか
この壁を超える時が来るのかな?
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