薔薇の眷族
第一章 アルテローゼの庭
むかしむかし、かみさまは
つちをしき、みずをまき、かぜをおこして、
せかいをつくりあげました。
やがてだいちにはみどりがめぶき、
せかいにはみずのあおと、
くさきのみどり、
そしてかぜのしろがあふれました。
ひかりのあふれるせかいに、
ほんのすこしさみしさをかんじたかみさまは、
せかいにいろをたすために、
こころをこめていちりんのはなをそだてました。
そのはなは、かみさまのあいじょうをたくさんあびて、
やがてまっかなはなをさかせました。
まっかにさきほこるはなをみて、
かみさまはまんぞくそうにうなずきました。
せかいにはじめてのいのちがうまれたと。
かみさまは、はじめてのいのちをしゅくふくして、
ほんのすこしだけ、
とくべつなちからをわけあたえました。
やがて、せかいにはいのちがあふれ、
いつでもまっかなはなが
ほこらしげにさいているのでした。
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