Jewel Memory*2つ年下



「そっちから送って」


ケータイ同士を近付けて、あたしは言われた通り赤外線でアドレスを送る。


一気に縮まる、あたしたちの距離。




送られたことを確認して、ケータイ同士を遠ざける。


また元に戻った、あたしたちの距離。




「じゃあ巳波からメールして」



ケータイの画面を見たまま、頷く巳波。


その笑った顔が何よりも可愛い。







───数秒後。



♪〜♪〜♪



登録されていないアドレスからのメール。



―――――

本文



―――――



くすっ。


思わず笑みが零れた。



「“あ”って何〜?」


「なんとなく」


あたしの質問に、巳波は笑いながら曖昧な返事をした。






巳波からの初めてのメール。


本文には“あ”の
一文字だけ。



このメールは、保護して今でも残してあるよ。





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