Jewel Memory*2つ年下
「ねぇココ、そろそろ戻らない?」
この空気、耐えきれないよ。
「うん、いいよ〜」
頷くココに一安心。
「じゃあまたねー」
みんなに手を振って笑顔を向けてみる。
でもやっぱり、視線の先にいる巳波は…………。
あ、
今目合った。
そう思って手を振ろうとした時。
わずかに上がった掌は、力なく落ちていった。
目が合ったわけじゃない。
巳波が見てるのは、あたしじゃない。
あたしより遠くの方向。
どこを見てるのか分からないけど、確かだったの。
巳波の視界には、あたしがいないってこと。
あのね。
あたしね、駅伝大会の日、スゴく辛かったよ。
巳波の見る先には、誰がいたの?
ねぇ、巳波───。
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