Jewel Memory*2つ年下



せっかくの駅伝大会っていうイベント。


話すことは、

話したいことは、

山ほどあったんだけどな。




巳波にメールできなかった。




返信が来るか怖くて、送信ボタンを押せなかった。





『あいたい』





その一言は保存されたまま。





七夕の日に、寂しくなって送って以来。


『あいたい』

なんて、伝えられない。





次の日の朝早く、


『どーしたの?』


そう来た返信に、


『ただ会いたいな、って思っただけ』


泣きそうになりながら、文字を打った。





本当は、今すぐにでも、

『あいたい』んだよ。





今思うと、あの頃の自分のが、今よりずっと頑張ってた。



積極的だった気がする。


その代わり泣き虫で。




でも、メールに気付いたら、巳波はすぐに返信をくれてたから。


だから、今よりずっと安心だったよ。






温かかった心も、凍りついてしまった秋と冬の境目。




それでもキミに

『あいたい』よ。





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