あなたがいたから、幸せでした。


「俺が傍にいるから。」


ポツリと聞こえた声に、

私はサッと後ろを向いた。


小さい声だった。

だけどきちんと聞こえたよ。


あなたの声が。

1番奥の方と、入り口は、

ずいぶんと遠いけど。



私がずっと待っていた言葉が、

今、かけられた。


でもね、もう遅いんだよ。

〝死ぬ〟って言ったでしょ?


だからね。

優しい声に逆らって。

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