あなたがいたから、幸せでした。


ああ、この声。

どこかで聞いた事があるよ。

昨日くらいだっけ?


あの男の子の声と、一緒だ––––––。


さっきは影ができて見えなかった顔も、

振り返ると、見えた。


彼は、綺麗な顔をしていた。

端正で、いかにも清純そうで。


美しい


彼にはきっと、この言葉が似合う。

赤色のワイシャツに映える、

スラッとした体型。

男の子にしては、細すぎるよ。


昨日、私を救ってくれたような男の子。


「俺は、

拓馬(たくま)。

安西(あんざい)拓馬。」


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