あなたがいたから、幸せでした。
「ねぇ、何で拓馬はこんな所にいるのよ。
練習くらいには参加したっていいじゃない。」
私があからさまな不満をぶつけると、
拓馬は困ったな、というように宙を仰いだ。
「あはは・・・
練習も無理なんだよ。」
そう言った拓馬は少し悲しそうだった。
「私なんか嫌々じゃない。
拓馬はいいよね、そうやって参加しなくてもいいから!」
私が最後の声を荒げると、拓馬は私を睨んだ。
なっ、何よ。
別に私は本当の事を言っただけだし、
睨まれるような事を言った覚えはない。
「走れるくせにっ!
うまく呼吸ができるくせにっ!
何でそんなわがまま言うんだ!
俺はっ、俺はもうっ!
走れないんだよ––––––・・・」
「あ・・・」
拓馬があんなに怒る姿、初めて見た。