あなたがいたから、幸せでした。
言ってしまった事はもう、なかった事にはできない。
それは分かっているのに。
何で?
全ての時間が止まったように、
声が出なかった私と一緒で風が止む。
あぁ、そっか。
やっと分かったよ。
私がもし、拓馬の立場だったら絶対にあれ以上怒っていたと思う。
だけど。
今私の口は止まらなくなってしまった。
「走れないとか、何言ってんの?
だって拓馬、前も走ってたじゃない。」
違う、こんな事が言いたいんじゃない。
実際私は拓馬の走る姿なんて見たことない。
「バッカみたい。
私だって走ると息切れはするし、それこそ拓馬だけじゃないんだよ?
意味分かんない!拓馬って何なの!?」
意味分かんない?
それこそ嘘だ。
私は悟っていたのに。
拓馬が何らかの病気だって事を。