あなたがいたから、幸せでした。


ポトリ

ポトリ––––––


そんな音がした。

ああ、雨が降ってるんだ。

気付いたのは、全身がびしょぬれになった時だった。



「はあ、はあ・・・

探したよ、富山さん!

って、何でそんなにぬれてんの!?」


その声が後ろから聞こえて、パッと後ろを振り返れば

ずぶぬれになった亜美がいた。


亜美だってぬれてんじゃん。


そう思ったけど、なんだか嬉しかった。


私1人のために、一生懸命になってくれて。


ずぶぬれになるまで、私を探してくれて。

何にも答えない私にしびれを切らした亜美はこう言った。


「練習は中止ですって。

ふぅ。

・・・言いたくない事だったら言わなくてもいいけど、

何かあったら私を頼って。

1人じゃ、ないんだから。」



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