あなたがいたから、幸せでした。
殺気にも似たオーラに、優夏は正直戸惑った。
それが亜美のものだと気付かない。
亜美はなおも考える。
––––––私はどうやってあいつとの距離を保ってきた?
ギリギリのところで、止めてきた?
〝富山さん〟と言うだけじゃ、
距離は構わず縮まってしまうの?
せめてもの距離の保ち方、
私はこれ以上知らないよ。
だけど。
知らないと。
あの子を突き放す事に失敗した時、
知らないでは済まされない。
私はきっと責められる。
だったら、いっそ情が移ったから、と言い訳するのはいけないだろうか。
ああ、こんなんじゃダメね。
明、大丈夫よ、安心して。
必ず、どんな事をしてでも私は。
あいつを奈落の底に突き落とす!!––––––
亜美が明に対して、強い誓いを立てた事。
もちろんこれも、優夏には分からなかった。
亜美が絶対に〝優夏〟や〝優夏ちゃん〟と呼ばないのには、こんな理由からだった。
もちろん亜美は今さら、と思っているようだったが。