あなたがいたから、幸せでした。
でも、私は少し嫌だった。
『明君、背ぇ伸びたわねぇ』
中3の夏、お母さんは言った。
明はとっても背が伸びて、
男らしく成長していたんだ。
中学校は別々になってしまっていた私達。
だから、明に会うのは久しぶりだったの。
『あ~、明じゃない!』
私がそうやって言いよれば、明は少し申し訳ないような表情を浮かべた。
『やあ、亜美、元気だった?』
『・・・?もちろん!
何かあったの?相談になら乗るわよ?』
『や・・・、これ亜美に言っていいのか分かんないけど。
俺、好きな人ができたんだ。』
『・・・?だから・・・?』
だから何、という視線を送る。
『えっと、婚約は無しにしよう。』
『ああ、そんなことか。
あのね、私にも好きな人がいるの。
っていうか、今付き合ってるわ。大好きなの』
うん、と明は頷く。
『だから私からも、婚約破棄を言わせていただくわ。』