あなたがいたから、幸せでした。
それじゃあ!
と彼の顔がほころぶ。
『えぇ、婚約は無しにしましょう』
私達の間には、強い何かがあった。
それが〝愛〟だとは言えないけれど、
確かに私は明が大好きなんだ。
いや、大好きだったんだ。
『で』
と私が切り出して、
明はきょとんとする。
『明、付き合ってんの~?』
こらこら~、というような雰囲気で聞いてみた。
『ああ、付き合ってはいないよ。
ただ、その子とはとっても仲がいいんだ。』
へぇ~、と聞いて驚く。
明はモテるのに、何で付き合っていないんだろう。
私の頭に数々の疑問が浮かぶ。
『何で付き合わないの?』
そう言ってやると、明は気まずそうな顔をした。
『その子、違う奴が好きなんだ。
しかも、俺の親友。最悪だろ?
精神的にも結構いっぱいいっぱいでさ。
告白なんて、できるわけねぇじゃんか・・・』