あなたがいたから、幸せでした。


ふ~ん

と私が言うと、

『あ・・・、ごめん。

忘れていいよ、この話。』


そう言われても、こうやって思い出してしまうほどその時の言葉が忘れられない。


うんん、忘れちゃダメなんだよね。


明がどうしていなくなっちゃったのか、

私には分かってしまう内容だったから。


でも、その時の私は考えなかったの。


富山優夏が、その女の子だという事を。


『・・・っていうか、いつから〝俺〟って言うようになったのよ~』


私がふざけて言ったので、

その場の少し冷たい空気はすうっと解けた。


『あー、その子に少しでもこっちを見てもらえるようにって思ってたから、

中学に入ってすぐの頃だったかなぁ。

もう俺になれて、〝僕〟だなんてむずがゆいんだよね』




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