あなたがいたから、幸せでした。
家族〈side優夏〉
「ただいま」
やっぱり私はこう言う。
授業を全て受けて帰ってきた。
別に言わなくてもいいのにね。
誰も、聞いてくれるはずないのにね。
私って、馬鹿なのかなぁ。
「おかえりっ」
え・・・?
この声は。
「雅?」
「うん、どうかした?」
「あ、いや。
〝おかえり〟なんて久しぶりに言われたから。」
私がそう言うと、
雅は困ったような悲しいような顔をした。
そんな顔、させるつもりじゃなかったんだけどな。