あなたがいたから、幸せでした。
「でも、あの時は俺には何もできなかった。
お前があの時、どういう思いでいたか
教えてくれないか?」
あの時とは、けんかの日の事だろう。
私は頷いた。
そして、話し始める。
「私ね、正直言って嫌だったの。
雅と比べられる事が。
私と雅じゃ、そりゃあ違う。
雅はもちろん容姿がいいし、
努力家だとは思う。
私はそれに取るに足らない事が分かってるから、
その事は別に良かった。
だけど、お父さんが
私の成績を見て怒ったのが辛かった。
私の成績は結構いいはずなのに、
何で?って。
何で怒るの?って。
その時だって、雅と比べたよね。
私が可愛くないから、
私がこんな顔だから。
だからなの?って思ったの。」