あなたがいたから、幸せでした。


花がスウッと消えた。

彼の持っていた花が。

消えて、なくなった。

まるで花が瞬間移動したみたいに、

彼の手に花はなかった。


『・・・っ。

心臓が軽くなってく感じがする。』


君の病気は、心臓の病気?

だとしたら、

あの人と似てるね。

〝あの人〟?

誰、だっけ。

あぁ、そっか。

私の唯一の男友達だった人だ。

その人も。


彼のようなテノールボイスじゃなかったっけ?



そして、彼のような顔をしてなかったっけ?


そう思うのは、私だけかな?






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