あなたがいたから、幸せでした。


痛い?

そんなモノも、もう感じはしない。

痛い、と思う事さえできない。

感覚が、麻痺している。

立とうとしても立てないし、

息をしようと思っても息ができない。

いつからこんなにできない事が増えたんだ?


今日だって、まだこんな事くらいできていた。

優夏が来た時だって冷静だったし。


手紙は、渡せたし。

俺が死んだときに開けて、って言ったけど

もうそろそろ開けなきゃいけないかもしんない。

俺、もう限界かも。


重たい瞼(まぶた)を開けた時だった。



最初に瞳に映ったのは、

優夏だった。

次に母さんが目に映り、

医者が見えた。





< 387 / 430 >

この作品をシェア

pagetop