あなたがいたから、幸せでした。


それに、と母さんが言う。


「拓馬は自分が自分じゃないような感じがして嫌なんですって。

肉体だけが自分と言える唯一のモノになりたくない、って。

私達もそれを聞いて納得したんです。」


母さんは涙を浮かべながらも俺を見た。


「そうですか・・・

延命治療といえども、

けっして不死身ではありませんからね。」


そりゃあそうだ。

肉体が腐ったら終わりじゃねぇか。


そこまでして生きようなんて思わないし。


俺、もうすぐ死ぬな。

こんな感じだったら、マジで。





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