あなたがいたから、幸せでした。
私のそんな思い、お父さんはみじんも感じ取ってくれなかった。

私は落ちた。

奈落の底、いや、奈落のどん底に––––––・・・


『もう、いいっ』


私は叫び、雅が見ていたことを確認すると、家を飛び出した。

雅は私を、悲しそうに見ていた。

もしくは、そう見えた。

けど、私は知ってるんだよ、雅。

雅は私の事、嫌いでしょ?

大が付くほどに、嫌いでしょ?

お父さんにけなされてる私を見て、少し嬉しそうだったじゃない。


お父さん、もっとやっちゃって


そんな視線を投げかけてたの、見たよ。

雅は、陰ながら見ていたようだけど。
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