あなたがいたから、幸せでした。
私の目にはしっかりと、鮮明に映っていたから。

私が家を出た時、お父さんとお母さんの声が、交互に聞こえた。


『これだからできが悪い奴は嫌なんだ!』


『あなた!

いくらなんでも自分の娘にそれは、酷過ぎですよっ』


お父さんは私をけなし、

お母さんは私をかばおうとする。

それから壮絶なけんかが繰り広げられたようで、

私が家に帰った頃には雅もお母さんも泣き、

お父さんは私を蔑んだ目で見てきた。

みんなは、


お前が悪いんだ


というように、私をちらりと見た。

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