お金より体力が大事?
蓋の表裏に悲しみが見える
幸鷹はハワイにいる真崎祐司の妻に電話をかけて夫の浮気について話をした。

最初は幸鷹の話など耳もかさない妻だったが、幸鷹が春日丘良斗こと高岡由樹について話すと、ちょくちょく電話がかかってきて秘密の相談をしているようだったと証言がとれた。

そして、祐司にはひとり娘のリーナが居り、リーナは3才で難病治療をしていることがわかった。

祐司の妻はライナというアメリカ人女性だが、彼女が実家で暴力にあえいでいたところを祐司が助け出して今の生活にいたったことがわかり、確かにライナのいうとおり、浮気をするような男ではないこともわかった。


そこで行き着いた結論は・・・祐司はリーナの治療費のために由樹の話にのったと考えられた。


「あの、ライナさんお願いがあるんです。
リーナの治療費は私が先にお支払しますし、あなたがこちらへ来られる間は信用のおけるスタッフをお嬢さんにつけると約束します。

このままではあなたのご主人も私の友人も傷ついてしまうんです!」






金曜日の夜・・・小花はいつものように祐司にディナーのデートに誘われて出かけた。


「やぁ、今日は食事して終わりじゃないんだ・・・。」


「えっ?」


「君もさびしいんだろ?そろそろ僕も限界みたいなんだ。
君にもっと近くに居てほしいと思ってしまうんだ。」


(どうしよう・・・なんかいつもの祐司さんと雰囲気が違う・・・
どこかで逃げなきゃいけないかも・・・。)



できるだけ食事の時間を延ばしながら、この先どこで分かれようかと小花が考えていると、祐司は真剣な顔をして小花の手をひいた。


「無理じいはなるべくしたくなかったんだけど・・・もう僕は限界だから。」


「そ、そんな・・・」



レストランのすぐ裏手にあるシティホテルへと小花は連れていかれた。


そして、ホテルに入ってしまったらもう逃げられない・・・と思った小花だったが、手をぎゅっと掴まれたまま離せない状況に小花は困ってしまった。


ドアが開いてホテルのロビーに着いた途端、祐司は声をあげた。



「どうして、君が・・・?」


「もう、もうやめて。
私は全部知っているのよ。リーナはもう大丈夫なの。

あなたが連れてきたお嬢さんが命の恩人よ。」


「なんだって!」


小花も突然現れたアメリカ人女性とリーナという名前におどろいて声も出なかった。


「なんとか間に合ったな。」


「どうして、幸鷹さんがここに?」


「だまされて男に手籠めにされかけてるお嬢さんを救いにきた。
で、あの話し合っている女性があいつの奥さんだ。
そして、ハワイには難病で入院している子どももいる。」


「どういうことなの?」


幸鷹は知っている限りの事実を小花に説明した。
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