お金より体力が大事?
翌日、小花の運転手として大学まで小夜を迎えにいって、そのまま晴波優樹菜の本を出版している出版社へと出かけていった。
次回作の打ち合わせの仕事だったが、幸鷹にはいつもの小花と違っておどおどしている感じが気になっていた。
(どうしたんだろう?体調でも悪いのか?
何かにおびえているみたいだな。)
打ち合わせが終わって出版社を出ようとしたときだった。
「あっ、晴波さん。今、打ち合わせが終わったんですか?」
まるで小花が怯えているように小花の体がぴくり!止まった。
「え、ええ。それじゃまた。」
「いつもながら、つれないなぁ。
そちらの方は新しい秘書の方ですか?
紹介もしてもらえないのかな。
君も偉くなったんだねぇ。僕が編集者だった頃にはベストセラー作家の目が摘まれたとか噂が流れたけど、僕が離れた途端、すごい人気作家になって、自分好みの男を雇えるようになったわけだ。」
「きさまっ、今の言葉は侮辱だぞ!」
「いいの、行きましょ。」
「いい身分だな。
もともと、うちの弟が君の作品を押さなければ、田舎の施設暮らしだったくせに。」
「あの、言いたいことはわかっていますから。」
「金だけ積めばもう終わりだと思うなよ。
君の原点は弟が見つけたものなんだ。
なのに君は、俺の弟を見殺しにしたんだからな。」
「私は見殺しになんかしていません!
裁判でもきちんとお話しました。
彼は私の作品を世に出してくれたのは感謝しています。
けれど、彼のほしかったのは報酬のお金だったんです。
私が会いにいったら別の女性と・・・。」
「君が弟に会いに行かなければ、弟が死ぬことはなかった。
それか、その場できちんと話し合っていれば、事故は起こらなかったんだ。」
「あのぅ・・・あんた、もしかして毎度そういう話を晴波にしてるわけ?
俺はあんたとは初めて会うけどさ・・・あんたの目を見てると、憎しみで彼女を見てるわけじゃないよな。
あんた自身が晴波に相手にしてほしくて、叫んでるように見えるんだけど。
嫌な話を持ち出して近寄ることを考えるよりも、素直に話したいって言った方がいいんじゃないのかなぁ。」
「何を・・・僕は晴波先生の編集者をやってた。
だが、この女は別の作家の担当だった弟とこっそり付き合っていたあげくに、事故死させたんだ。」
「そういうことか・・・。
だけど、彼女は法で裁かれたわけじゃない。
女を作ってた弟くんが悪いのは明白だろ?
あんたは弟と付き合っていた事実も気に入らなければ、今、あんたが彼女にかかわれなくなった事実に腹をたててるとしか思えないな。
ああ、びっくりだ。大学生の彼女にそういう過去があったなんてねぇ。
ただ1言忠告しておいてやる。
過去の事実はあったにせよ、自分の気持ちには素直になった方が勝ちなんだよ。
あんたのそういう弱さが、彼女を遠のかせてしまったんじゃないの?
さぁ、センセ・・・次のところに行きましょう。」
「う、うん。」
次回作の打ち合わせの仕事だったが、幸鷹にはいつもの小花と違っておどおどしている感じが気になっていた。
(どうしたんだろう?体調でも悪いのか?
何かにおびえているみたいだな。)
打ち合わせが終わって出版社を出ようとしたときだった。
「あっ、晴波さん。今、打ち合わせが終わったんですか?」
まるで小花が怯えているように小花の体がぴくり!止まった。
「え、ええ。それじゃまた。」
「いつもながら、つれないなぁ。
そちらの方は新しい秘書の方ですか?
紹介もしてもらえないのかな。
君も偉くなったんだねぇ。僕が編集者だった頃にはベストセラー作家の目が摘まれたとか噂が流れたけど、僕が離れた途端、すごい人気作家になって、自分好みの男を雇えるようになったわけだ。」
「きさまっ、今の言葉は侮辱だぞ!」
「いいの、行きましょ。」
「いい身分だな。
もともと、うちの弟が君の作品を押さなければ、田舎の施設暮らしだったくせに。」
「あの、言いたいことはわかっていますから。」
「金だけ積めばもう終わりだと思うなよ。
君の原点は弟が見つけたものなんだ。
なのに君は、俺の弟を見殺しにしたんだからな。」
「私は見殺しになんかしていません!
裁判でもきちんとお話しました。
彼は私の作品を世に出してくれたのは感謝しています。
けれど、彼のほしかったのは報酬のお金だったんです。
私が会いにいったら別の女性と・・・。」
「君が弟に会いに行かなければ、弟が死ぬことはなかった。
それか、その場できちんと話し合っていれば、事故は起こらなかったんだ。」
「あのぅ・・・あんた、もしかして毎度そういう話を晴波にしてるわけ?
俺はあんたとは初めて会うけどさ・・・あんたの目を見てると、憎しみで彼女を見てるわけじゃないよな。
あんた自身が晴波に相手にしてほしくて、叫んでるように見えるんだけど。
嫌な話を持ち出して近寄ることを考えるよりも、素直に話したいって言った方がいいんじゃないのかなぁ。」
「何を・・・僕は晴波先生の編集者をやってた。
だが、この女は別の作家の担当だった弟とこっそり付き合っていたあげくに、事故死させたんだ。」
「そういうことか・・・。
だけど、彼女は法で裁かれたわけじゃない。
女を作ってた弟くんが悪いのは明白だろ?
あんたは弟と付き合っていた事実も気に入らなければ、今、あんたが彼女にかかわれなくなった事実に腹をたててるとしか思えないな。
ああ、びっくりだ。大学生の彼女にそういう過去があったなんてねぇ。
ただ1言忠告しておいてやる。
過去の事実はあったにせよ、自分の気持ちには素直になった方が勝ちなんだよ。
あんたのそういう弱さが、彼女を遠のかせてしまったんじゃないの?
さぁ、センセ・・・次のところに行きましょう。」
「う、うん。」