私とあいつの関係 *ステキな婚約者*
 聞いたことのない低くて冷たい声。



 そんな言葉を向けられた男は真っ青な顔をしながらその場を去って行った。



 しかも全力疾走で……。




 男が離れたのを知って、私は自然に足から力が抜けて地面に座り込んだ。



「華音、大丈夫か?」



「う、うん。颯真が助けに来てくれたからだいじょ……」



 “大丈夫”そう言おうと思ったのに、なぜか私はその先の言葉が言えなかった。



 だって私、颯真に抱きしめられたんだから……。
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