最後の龍の華②
ピンポーンパンポーン
「試合開始まで5秒前!4.3.2.1……スタート!」
ブーーーーー
アナウンスがなったあとブザー音が鳴り響く。
私達の周りには敵がいないからとても静かで緊迫の字すら出てこない。まぁ見学組の好機の目ならいっぱいあるけど………
チラっと琥珀を見つめてみる
すました顔で入り口の方を見つめていた。
なんかずるい………
隠れたい気持ちを抑えてこんな真ん中に立って焦ってる自分と堂々と立っている琥珀に嫉妬している自分がいる。
頭では理解しているの……
私と琥珀は思考も能力の使い方生まれ育った環境が違うこと……でも、こんなに明暗がはっきりしているとなんだか琥珀の事憎らしく思ってしまう。
無意識に頬が膨らんでいたんだと思う、気づいたら琥珀に指で押されていた
「プスっ……な、何よ」
「何ふくれてんだよ」
「………なんにもない」
「そんなわけないだろ、何だよ不満があるなら言えよ」
「本当になんにもないから」
「………」
「………」
ジーと見られるから、睨み返す。
心の内なんて言えるわけないでしょ……ましてや琥珀に嫉妬してましたなんて言えるはずないじゃない!
「なんもないのかよ」
「なんにもないわ」
「ふーん………あっ」
「?」
ドーン!!!!
「は?」
「後ろ危ないぞ」
後ろから炎の塊が私の顔の横を通り過ぎていく
琥珀は後ろを指さしており、その先を見つめると眼鏡のブリッジをクイッとあげている奈留がいた
「チッ、外しましたか」
はぁ?
まさかのいきなりの攻撃と奈留の舌打ちに口が開いてしまう。
「来ると思ってた」
「そりゃそうでしょ。毎年スタート地点から動かなくやる気のない獲物がいるんですからポイント稼ぎに来るのは当たり前ではないですか」
琥珀と奈留が睨み合う。
「悪いが今回は負けられないんだ」
「…………。ほー。なら力尽くでその尻尾いただきます」
奈留が右手を高く掲げる。
手のひらから火の玉ができていく、えっ?まさかの無詠唱?でも、どんどんと大きくなる火の玉。
「龍華、あれおまえのだろ?」
「はぁ?!」
「最初はお前からだろ?」
「………」
「………」
奈留のお相手は私って事?
奈留は琥珀に喧嘩売ってなかった?てっきり琥珀が相手するのかと思ってた、あんな会話されてたらちょっと私の事忘れられてたのかと………
「灼熱より産まれし秘宝よ、私の願いを叶えたまえ」
黙っていた正確には火の玉を練っていたんだけど……奈留が詠唱を始める。
えーちょっとまてあれ召喚の詠唱じゃんか。しかも契約種ではなくこれから契約するやつを呼び出すやつだし………
込められた魔力を察するにえげつないのが出てくるのは予想がつく。隣にいる琥珀は自分の周りに結界はって傍観する気満々だ、…………いっちょやりますか。
「いでよ、ほ「ちょっとごめんね。奈留の相手は私なのよね」
詠唱を完了する前に自分の魔力の塊を火の玉に向かって投げる。うわー。危ない危ないもう少しで何かやばいやつが出てくる所だったわ。
白い煙をだして消えていった火の玉。
集中していた奈留が初めて私と目線が交わる。
「………」
「………何?なんか文句ある?」