最後の龍の華②
苦しい
この一言にかぎる...
一人 抱きつかれながら目でみんなに訴える
苦しい!!!
助けて!!
でも 気づいてくれない....
これを一人で抜け出せと?!
ダメ元で陽向に声をかける。
『...ねぇ そろそろ離れて?
苦しいのよ...』
離してほしいが為に体を捻るが抜け出せず、追い打ちをかけるように抱きつく力が強くなる
「....無理! ...龍華は良い抱き心地...」
『とりあえず... 一回離れない?
そのあとは 私に抱きついても構わないから...』
もう妥協案で、体制だけでもどうにかする。私の中の願いが通じたのか、陽向はおとなしく私を解放する。
ふぅー。しんどかった。
首をコキコキと鳴らし、抱きついても大丈夫な体制を取ると、待ってましたと言わんばかりに陽向が再度抱きつく。
あー。私いつか肩こりで老後がやばいだろうなー
ふぅー
一息つけて、周りを見渡す。
「みんな、久しぶり」
にこーと笑う。これは感動の再会じゃない?って思うんだけど....
そうでもないみたい...
「貴方からたくさん、聞きたいことがあります」
メガネをクイッとあげて、目がギラギラしている奈留
うーん。聞かれることは沢山あるかもしれないけど、そんな獲物を狙っています!みたいな目はやめてほしいなー。
「おまえ...心配したんだからな」
頭をガシガシとして、照れ臭そうに目線を横にして心配してきた翡翠。
そうよね....私のことを女って知っていたものね、悪いことをしちゃった。
「………龍華ちゃん?いろいろと知りたいことがいっぱいだなー…教えてくれるよね?」
笑いながら小首を傾げている弥生。
結構あざといことをしているよね....
でも、一番流聖と仲よかったし...私がなんで男の格好をしていたのか、知りたいと思った。これはちゃんと教えよう。
三人に追い詰められながら、苦笑いする。
一人ずつ教えてあげたいけどここじゃ目立って、喋りづらい。
陽向は寝ているし、隣の琥珀は黙って成り行きを見守っている。
えぇー?見守ってないで、なにか言ってほしい。
「おい」
琥珀の突然の呼びかけに、顔を横に向ける。
「なに?」
「ここじゃ言いづらいだろ?」
「……まぁ...そうだね」
「じゃあ、行くか」
へっ?
どこに?突然の発言に目が点になる。
そんなこと思っていたら、琥珀に担がれた。