最後の龍の華②
気づいたらソファーの上に座っていて、呆けている私を放って、みんな定位置の場所に座る。
私がいるのは二人掛けソファーで、私一人で座って、他の2つの二人掛けにそれぞれ四天王が座っていて。
一人掛けに座り王様のように威厳に満ちあふれている琥珀が座っていた。
さすが、皇帝って言われるだけあるよね。
みんなもさっきまでのおちゃらけた態度など一切ないし、陽向も起きてる。
ここ...リトルエデンじゃない??
「ここなら、大丈夫ですよね?」
「えぇ。いいわよ?」
「では...」
「の前に!」
奈留が何かを言う前に、言葉を遮る。
突然のことに、口をあんぐりとしている。
ふんっ!いい気味!
さっきの私に何も言わずに、ここまで連れてきたことはちょっと根に持ってることはないよ?ただ、お返しにという事でいい気味ーだなーって思ってただけよ?
それに、ここはリトルエデン。ここには用があったのよねー。
「交換条件ね?ちょっと協力してほしいことがあるの」
「……内容は?」
問いてきた琥珀にニッコリもかえす。
怪訝な顔をされたけど、無視!
そんなに、やばい表情してるかな....
「ちょっとだけかなー?魔力を貸してほしいの」
「それだけか?」
「それだけって...魔力ってわかってるの?悪用に使われるかもしれないって想定していないの?」
あんまり、不審に思わない琥珀にこっちが怪訝な顔になってしまう。
魔力の塊は具現化ができ、それが誰でも使えるという代物。
強い人の魔力ほど、強力。
次期族長のしかも皇帝、四天王と呼ばれるほどの魔力を貸してって言っているのだ、
怪しいと思わないわけがない。
こんなので、大丈夫なわけ?
「それはわかってる。でも、お前には貸そう」
「……」
琥珀の方を凝視してしまう。
それって、私の事を認めて貰ってる?
「まぁ、質問の内容も内容なのでそれぐらいのコストは考えていました、私は全然大丈夫ですよ」
奈留の一言でみんな各々賛成意見を言う。
「抱き枕になってくれるなら、貸してあげる」
「まぁ、龍華だしな。全然おけーだぜ」
「そうだねー、龍華ちゃんだしー!それに龍族だし!」
「………」
なにも言えないじゃない、そんなにほのぼのと語られて、私の内情を聞くからそんなの想定内とか私だからとか龍族だからとか抱き枕とか.....
「あはははは!」
「ちょっ?大丈夫?!」
いきなり笑い出した私に慌てた風に言う弥生に、もっと笑いがこみ上げてくる。
この人たち、自分たちが今何言ったのかわかっていないみたい....
「クスクス...あー!久々にこんなに笑った!」
「そ、そうか」
「ちょっと、ドン引きしないで!」
「お、おう」
タジタジな翡翠。
それにも、少し笑えてくる。
私ってこんなにツボが浅かったかな?