ひとかけらの記憶
白い空間
目を開ける。たったそれだけのことなのに何故だか瞼が重すぎてなかなか開かない。
私はいつまで寝てるんだろ。早く起きないと怒られる。ママはイライラするとすごい声量で怒る時があるから、と思い必死になって目を開けた。
「…………」
私の部屋は家の骨組みの木が丸見えで、なかなかレトロ風。
それで、壁紙は薄いピンクの花柄…。
でも、私が今見てる景色は気味悪いほど真っ白で、カーテンのような布に囲まれているように見える。
「………ママ」
か細い声しか出ない。寝起きだからだろうか。
「ママァ………」