獅子座流星群




外だ。
上京したての頃は排気ガスの臭いやらなんやらで鼻が痛くなった臭いも一年もすれば慣れてゆき、今ではそれが普通となった。

目の前の交差点では何台もの車が行き来してる。こんなにも沢山の車が犇めき、我先にと追い越ししていく車を、東京に来て初めて見た。


そう。東京。私は今東京にいる。

大学進学とともに越してきてから、もう何年経っただろう。


奨学金制度を利用して大学に通った。ボロアパートで独り暮らしをしながらアルバイトで生活費を稼いでいた。

勿論、執筆活動も忘れなかった。

どんなにレポートが大変な時でも。どんなに疲れてても。決して書くのをやめなかった。

それは夢があったから。小説家になりたいという夢が。

手応えを感じた作品は迷わず応募した。いくつもの賞に応募してきた。

しかし現実は厳しくて、賞どころか一次審査さえ通過しないなんてザラだった。昔から考え、構成を練り、何度も何度も読み返しては修正を繰り返してきた作品すらカスリもしなかった。


それがたまらなく――――気に入らなかった。





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