獅子座流星群
ブブブ、とポケットから伝わってきた震動にハッとした。マナーモードにしていた携帯が鳴っている。すぐに止まったからメールだろう。いや、それよりも、
「っ、バイト!」
ヤバい。すっかり忘れてた。急いで駅に向かい、電車に乗ってバイト先がある市に急いだ。
出版社のある都会から電車で約一時間。所謂都会とは離れた23区外に私が働くバイト先と、その近くには今住んでいるアパートがあった。
右も左もビルばかりで車も多かった都会とは違う。一応東京都な筈なのにハミ出てる感じがする。
「すみません店長!遅れました!」
これが今の私の実力だと、現実を突き付けられてる気がする。
「いいよ。この通り今日も客はいないから」
「……でも、もうすぐで夕ご飯時ですよ。すぐ準備します」
「ありがとう。あ、それと高橋さん。俺の事店長なんて呼ばなくていいからね?」
どうせ従業員は俺と高橋さんの二人しかいないんだし、と笑った店長の顔には疲労が窺えた。
それが体力面じゃなく精神面での疲労だと分かったから胸が痛くなった。