獅子座流星群




印税。その単語を聞くだけで胸の底が圧迫され軋み出す。
それが苦しくて、この話題を避けたくて話を無理矢理ねじ曲げれば、店長はまた疲れたように笑った。

あ、マズイと思ってももう遅い。

作業の手を止めたままどうする事も出来なくて。


「凄くなんかないよ。全然」


店長の寂しさ孕んだ声を聞く事しか出来なくなっていた。


「親の仕事を継ぎたくなくて田舎から飛び出して上京したけど、結果はこのざまだ」

「そんな…」

「いいのいいの。この店の事は、俺が一番分かってるから」


この店の事―――…。それがこの店の経理状況を言ってるのだと分かり、また胸が痛くなった。

売り上げはお世辞にもいいとは言えない。

正直に言ってしまえば、潰れるのも時間の問題だろう。


どれだけ夢を見たって。どれだけ努力したって。結局は結果が全て。


「こんな筈じゃなかったのになぁ…」と吐露した店長が、今の自分と重なった。




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