獅子座流星群
「あ、八重!」
「……」
なのに、そんな失礼な態度をとったにも関わらず、高橋幸満は変わらない笑顔を私に見せる。
放課後。生徒昇降口に向かうと、何故か高橋幸満が私の下駄箱の前にいたのだ。
「……待ち伏せ?」
「うん!だって八重と話したかったし!」
「……」
「八~重?」
ハァ、とため息をこぼしつつ、高橋幸満をしっしっと手で追い払い下駄箱からローファーをとりだし、脱いだ上履きをしまった。
そして靴を履き変えてそうそう歩き出す私に、これまた何故か隣に並んで歩く高橋幸満。端から見れば一緒に帰ってるみたいだ。
「あのさぁ……」
「何?八重」
「……話す事、あったわ」
校舎を出たところで足を止めた私に、高橋幸満も立ち止まる。
「ん?」と顔を覗き込んでくる高橋幸満を、私は怪訝な顔で見据えた。
「名前で呼ばないで」