獅子座流星群





それにしても静かだ。聞こえるのは風が木の葉を揺らす音だけ。

私は「よっこいしょー」と声を出しながら地面にお尻をつけ、ダランと仰向けに寝転がった。

こんな田舎大嫌いだけど、自然の中で大の字になるのは悪くない。

んーっと手足を伸ばすと、学校とか受験とか、そういう窮屈な環境から解放されたような気分になり気持ちも良かった。でも。


「……曇りじゃん」


視界に映る空は灰白の雲で覆われ、流星群どころか星さえ満足に見えない。
気紛れに吹く風によって雲のベールが動く際数える程度の星がちらりと見えるだけ。それだけの夜空だった。





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