聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~真実の詩~
「今日は講義はなしだ。講義より、やるべきことがあるだろう」
「――はい。内乱を、なんとかします」
「そうだ。元はと言えば、お前がラミアード王子に対する態度をはっきりとしないからこんなことになるんだ。今からでも遅くない。すぐにお前の王位の正統性を示す布告を出せ」
「…………はい」
リュティアもついに覚悟を決めた。ことここに至っては、もう、迷っているわけにはいかなかった。退位できない以上、ラミアードには王位を諦めてもらうしかない。
その時執務室の扉を叩く音がした。
出てみれば、大司教ポルカである。その後ろに大巫女のラタユが控えている。
「女王陛下、このラタユを通して神託が下されました。混乱を極める王国を救う神託でございます。聖山レヌスにて、王の試練を行えと。真実の王のみ手にできる王の宝が、我々にどちらが国王たりうるかを示してくださるとのことです」
「…王の試練…」
その話なら聞いたことがあった。古い時代にも、国王の選択を迫られた際、用いられた方法だったはずだ。聖山レヌスには不思議な力があって、その懐に宝を抱き、真実の王にのみその宝を差し出すというのだ。
「 “王の宝 天に掲げし時 天空より一条の光下りて 真実の王を示さん”…」
突然、後ろに控えていた大巫女ラタユがそう声を発し、リュティアは圧倒された。
その言葉の内容より、重々しくも厳格な声の響きに圧倒されたのだ。この老婆がしゃべるところを見たのはこれがはじめてだった。
リュティアは考えてみる。王の試練―それでこの混乱は解決するだろうかと。
どちらが王にふさわしいかはっきりと示されれば、国民も皆納得してくれるに違いない。
そう思ってリュティアがフリードを見ると、彼も目顔でうなずいてくれた。―決まりだ。
「王の試練…わかりました。その方法で真実の王を決めましょう。フリード卿、布告を出します。王の試練にて真実の王を決めると広く国民に知らしめてください」
「御意」
「――はい。内乱を、なんとかします」
「そうだ。元はと言えば、お前がラミアード王子に対する態度をはっきりとしないからこんなことになるんだ。今からでも遅くない。すぐにお前の王位の正統性を示す布告を出せ」
「…………はい」
リュティアもついに覚悟を決めた。ことここに至っては、もう、迷っているわけにはいかなかった。退位できない以上、ラミアードには王位を諦めてもらうしかない。
その時執務室の扉を叩く音がした。
出てみれば、大司教ポルカである。その後ろに大巫女のラタユが控えている。
「女王陛下、このラタユを通して神託が下されました。混乱を極める王国を救う神託でございます。聖山レヌスにて、王の試練を行えと。真実の王のみ手にできる王の宝が、我々にどちらが国王たりうるかを示してくださるとのことです」
「…王の試練…」
その話なら聞いたことがあった。古い時代にも、国王の選択を迫られた際、用いられた方法だったはずだ。聖山レヌスには不思議な力があって、その懐に宝を抱き、真実の王にのみその宝を差し出すというのだ。
「 “王の宝 天に掲げし時 天空より一条の光下りて 真実の王を示さん”…」
突然、後ろに控えていた大巫女ラタユがそう声を発し、リュティアは圧倒された。
その言葉の内容より、重々しくも厳格な声の響きに圧倒されたのだ。この老婆がしゃべるところを見たのはこれがはじめてだった。
リュティアは考えてみる。王の試練―それでこの混乱は解決するだろうかと。
どちらが王にふさわしいかはっきりと示されれば、国民も皆納得してくれるに違いない。
そう思ってリュティアがフリードを見ると、彼も目顔でうなずいてくれた。―決まりだ。
「王の試練…わかりました。その方法で真実の王を決めましょう。フリード卿、布告を出します。王の試練にて真実の王を決めると広く国民に知らしめてください」
「御意」