聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~真実の詩~
人影が身にまとう光沢のある白いローブに見覚えがあった。番人ファラーガだ。だが風で背に流れたフードからこぼれた髪の色は、ふた房の黒髪以外なんと見事な黄金だった。
―番人ファラーガが、星麗…!?
「私の領域で、勝手なまねは許さぬ…!」
それは威厳と怒りに満ちた一言だった。彼の怒りで空間にぴきりと亀裂が入ったようにさえ感じられた。しかしヴァイオレットは怯まなかった。
「おやおや、とんだ邪魔が入りましたね」
「去れ」
「いやだと言ったら…?」
ファラーガは無言で右手を振り上げた。するとそこに虹色の光が集まり、みるみるうちに槍の形になった。彼は問答無用でその槍をヴァイオレットの体の中心に勢いよく投げつけた。
槍は見事にヴァイオレットの体を貫いた。
だが、―――
ヴァイオレットは笑っていた。
「残念でしたね。私には内臓がない。美しくないものは、私の体にはないのです。だからいくら私の体を貫こうと、私は死なない」
しかしファラーガも口端をゆがめて笑った。
「ここの主が私だということを忘れていないか。私にはお前をここからずっと出られないようにすることができる」
「おっと、それは困りますね。大人しく退散するといたしましょうか。お楽しみは、とっておくことにいたしましょう。…くくく、アハハハッ!!」
金属をこすったような気に障る甲高い笑い声を残して、ヴァイオレットは飛び去って行った。
―番人ファラーガが、星麗…!?
「私の領域で、勝手なまねは許さぬ…!」
それは威厳と怒りに満ちた一言だった。彼の怒りで空間にぴきりと亀裂が入ったようにさえ感じられた。しかしヴァイオレットは怯まなかった。
「おやおや、とんだ邪魔が入りましたね」
「去れ」
「いやだと言ったら…?」
ファラーガは無言で右手を振り上げた。するとそこに虹色の光が集まり、みるみるうちに槍の形になった。彼は問答無用でその槍をヴァイオレットの体の中心に勢いよく投げつけた。
槍は見事にヴァイオレットの体を貫いた。
だが、―――
ヴァイオレットは笑っていた。
「残念でしたね。私には内臓がない。美しくないものは、私の体にはないのです。だからいくら私の体を貫こうと、私は死なない」
しかしファラーガも口端をゆがめて笑った。
「ここの主が私だということを忘れていないか。私にはお前をここからずっと出られないようにすることができる」
「おっと、それは困りますね。大人しく退散するといたしましょうか。お楽しみは、とっておくことにいたしましょう。…くくく、アハハハッ!!」
金属をこすったような気に障る甲高い笑い声を残して、ヴァイオレットは飛び去って行った。