聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~真実の詩~
「カイ、これを」
カイはそっと立たされ、その手に美しい白金の額飾りを授けられた。
その中央には虹色に光輝く宝玉が埋め込まれていた。
「これは…聖具“虹の額飾り”…?」
「すぐに助けに来ず、悪かった。少しお前を試したかったのだ。聖具を渡すに足る人間かどうか…さあ、それを持って、急ぎなさい、もう時間がない」
「!!」
カイは砂時計を見て泡を食った。すぐさまリュティアを抱き上げる。駆けだそうとしたカイに、ファラーガは静かな声を聞かせた。
「どうか…あいつを…ライトを救ってやってくれないか…私はあいつを信じているんだ…」
「ライト…? あなたはいったい、猛き竜の、何…?」
その質問に、ファラーガは答えず、薄く笑っただけだった。それはここの風のように爽やかで、ここのだだっ広く何もない草原のようにどこか寂しげな笑みだった。
カイはリュティアを抱いて駆けだした。砂時計の砂はもうあとほんのわずかしか残っていない。けれど想いの力で距離は縮まるはずだから、きっとまだ間に合う…!
信じるのだ。
「カイ! 聖乙女(リル・ファーレ)!」
その時聞いたことのある声が二人に追いすがってきた。カイが立ち止まらず首だけをめぐらせると、そこにはなんとあのセラフィムがいるではないか。
「セラフィム様!?」
カイはそっと立たされ、その手に美しい白金の額飾りを授けられた。
その中央には虹色に光輝く宝玉が埋め込まれていた。
「これは…聖具“虹の額飾り”…?」
「すぐに助けに来ず、悪かった。少しお前を試したかったのだ。聖具を渡すに足る人間かどうか…さあ、それを持って、急ぎなさい、もう時間がない」
「!!」
カイは砂時計を見て泡を食った。すぐさまリュティアを抱き上げる。駆けだそうとしたカイに、ファラーガは静かな声を聞かせた。
「どうか…あいつを…ライトを救ってやってくれないか…私はあいつを信じているんだ…」
「ライト…? あなたはいったい、猛き竜の、何…?」
その質問に、ファラーガは答えず、薄く笑っただけだった。それはここの風のように爽やかで、ここのだだっ広く何もない草原のようにどこか寂しげな笑みだった。
カイはリュティアを抱いて駆けだした。砂時計の砂はもうあとほんのわずかしか残っていない。けれど想いの力で距離は縮まるはずだから、きっとまだ間に合う…!
信じるのだ。
「カイ! 聖乙女(リル・ファーレ)!」
その時聞いたことのある声が二人に追いすがってきた。カイが立ち止まらず首だけをめぐらせると、そこにはなんとあのセラフィムがいるではないか。
「セラフィム様!?」