聖乙女(リル・ファーレ)の叙情詩~真実の詩~
大男が効果的に間をおいて、リュティアに跪き頭を垂れた。そこではじめて、伝説の“聖乙女”が立ち上がった。
その時人々は彼女の美貌にはじめて気が付いた。桜色の髪に縁どられた白い顔。それは神々しいまでに美しく、人ならざる者のような威厳を放っていた。その威厳に打たればたばたとひれ伏す者が続出した。
「私は“聖乙女”リュティアと申します。この通り、いかなる怪我も病も治す力を神から授かりましたが、心は今の世界のこの状況を憂える皆さんと同じ一人の人間に過ぎません。この至らぬ身になぜこのような力が授けられたのかはわかりません。至らぬ私に何ができるでしょう。それもわかりません。けれど、世界のために、今できることを精一杯やりたいと思っています」
リュティアの声は決して大きな声ではなかったが、どこまでも澄んで清廉で、人々の心に直接響き渡った。
「今私ができること、それは皆さんと一緒にこの状況と戦うことだけなのではないでしょうか。
そしてできるなら3000年前の戦いが再び起ころうとしている今この時だからこそ、伝説の通りにフローテュリア王国を再興させ、皆さんを救う一助となれたらと思うのです。どうか、皆さんの力を貸してください」
最初その威厳に打たれた人々は、今度その言葉に打たれた。力におごらず、あくまで健気に協力を求めるその姿勢に打たれたのだ。
人々の歓喜のどよめきを煽るように、大男が顔を上げ言い放つ。
「聖なる王国の住民となりたい者はフローテュリア王都へ、今こそ旅立つのだ!」
その言葉に、人々は広場を埋め尽くすような大歓声で答えた。
「聖乙女万歳!」「リュティア様万歳!」「フローテュリア万歳!」
壇上で微笑むリュティアと目が合った気がして、デイヴィは思わずひれ伏していた。
深く深く、地面にこすりつけるようにして頭を下げていた。
その時人々は彼女の美貌にはじめて気が付いた。桜色の髪に縁どられた白い顔。それは神々しいまでに美しく、人ならざる者のような威厳を放っていた。その威厳に打たればたばたとひれ伏す者が続出した。
「私は“聖乙女”リュティアと申します。この通り、いかなる怪我も病も治す力を神から授かりましたが、心は今の世界のこの状況を憂える皆さんと同じ一人の人間に過ぎません。この至らぬ身になぜこのような力が授けられたのかはわかりません。至らぬ私に何ができるでしょう。それもわかりません。けれど、世界のために、今できることを精一杯やりたいと思っています」
リュティアの声は決して大きな声ではなかったが、どこまでも澄んで清廉で、人々の心に直接響き渡った。
「今私ができること、それは皆さんと一緒にこの状況と戦うことだけなのではないでしょうか。
そしてできるなら3000年前の戦いが再び起ころうとしている今この時だからこそ、伝説の通りにフローテュリア王国を再興させ、皆さんを救う一助となれたらと思うのです。どうか、皆さんの力を貸してください」
最初その威厳に打たれた人々は、今度その言葉に打たれた。力におごらず、あくまで健気に協力を求めるその姿勢に打たれたのだ。
人々の歓喜のどよめきを煽るように、大男が顔を上げ言い放つ。
「聖なる王国の住民となりたい者はフローテュリア王都へ、今こそ旅立つのだ!」
その言葉に、人々は広場を埋め尽くすような大歓声で答えた。
「聖乙女万歳!」「リュティア様万歳!」「フローテュリア万歳!」
壇上で微笑むリュティアと目が合った気がして、デイヴィは思わずひれ伏していた。
深く深く、地面にこすりつけるようにして頭を下げていた。